ベンチャー企業の雄が共に語り合う 「浜松の福祉の今、そしてこれから」 シリーズ 第2回

対談・取材

浜松市で今、もっとも勢いのあると言われる福祉の企業、「ヒーリングハート」と「咲夢来」。その代表である金島隆裕氏と齊藤良尚氏に、なぜ福祉事業に参入したのか、その理由や福祉の現場の今、そして今後の展望について、存分に語り合っていただいた。
(2019年1月実施)

●株式会社ヒーリングハート 代表取締役 金島隆裕


●合同会社咲夢来 代表取締役 齊藤良尚

————第1回では、金島さんに「ピュアハーツ」の成り立ちについて、また利用者さんへの熱い思いを伺いました。
第2回では、まず齋藤さんに、「咲夢来」を起業されたのはなぜかをお伺いします。

齊藤:咲夢来の前、僕が十代の頃から、お話ししますね(笑)。
もともと僕は、特別な資格があったわけではありません。浜松に来たのは19歳の頃です。母が浜北の方で飲食店をしていましたので、そこを手伝いながら「自分に何ができるかな?」ということを常に考えていました。サービス業が好きだったので、その後ホテルに就職したのですが、将来性という点では不安でした。
たとえばホテル勤務での当時のお給料は1カ月14万円。そして、20年くらい勤務している上司が18万円でした。自分はサービス業に向いているとは思っていたけれど、20年後の将来が見えてしまったことに嫌気がさし、次も決まっていないままそこを辞めてしまったのです。
辞めたはいいけど、何をすればいいんだろう?と思っていたとき、ある報道番組で、ワゴン車を改造して、車イスの方を自宅から病院へ運んでいるというボランティアグループの活動を見ました。ボランティアといっても彼らは有償ボランティア。やった分の対価としてはもらうけれども、必要以上にはもらわない。
僕は特に福祉に興味があるわけではなかったけれど、ただ、人と接するのは好きだった。そして車の運転も好きでした。
車1台で始められるのであれば「この仕事をやってみたい」と思ったことがきっかけで、福祉の世界に参入したのです。
思ったら即行動、すぐに川崎のボランティアの方に連絡を取って、研修を受けさせてもらいました。やり方を学んだ後、浜松で、リフト車1台を用意して事業をスタートさせたんです。
僕が始めた車イスの方の送迎は、一見、介護タクシーと似ているのですが、システムは違います。
タクシーは不特定多数のお客さまに、距離の分の運賃をいただくという仕組み。うちの場合は会員制の介助事業でした。利用者さんに会員になっていただき、運賃の代わりに介助の料金をいただきます。
車イスの方を病院まで送迎したり、県外へ旅行に連れて行ったりするような、あまり他にない仕事でした。手頃な価格でしたし、始めた当初から、利用者さんにはとても喜んでもらえたと思います。高齢化社会ということもあり、今後の事業展開が考えやすいだろうとも思いました。
そこから介護保険事業に拡がっていきました。

———おふたりの今の事業をさらにくわしく教えてください。

金島:放課後デイサービスについて、少しお話しします。
放課後デイは「特化型」と「預かり型」という2つがあるのですが、うちの場合は完全に「特化型」で、パソコンやダンスなどを教えています。パソコンの技術も非常に高いレベルまで行っている子もいて、2本の指で、大人顔負けのタイピングができます。今、この場にいる大人たちよりも3倍は速いです(笑)
Excel、Wordもやっていて、検定も受けています。資格も取っていますよ。それが僕は「療育」だと思っています。
身体が不自由な者がリハビリをするのが療育だと思っている方もいるかもしれませんが、僕は「障がい児が社会の役に立つために、我々が教えることが療育というのではないか」と考えています。だから高校生には高校生の、中学生には中学生の療育があると思います。
小学生は中学校へ行くための療育、中学生は高校へ行くための療育、というふうに段階で実施していくと、子どもたちも非常に伸びていく。大人だって伸びていきます。
すみません、話が少し長かったですか(笑)?

———そういえば、E-Lifeの名刺もヒーリングハートさんに作っていただきました。

金島:はい、ありがとうございます。
そこから段階的に先に進んでいければいいのですが、4時間以上の勤務が少し難しかったり、季節の変わり目などに弱かったりと、なかなかスムーズに就労に移行できない部分があります。
後は、こちら側の問題として、彼らに対しての”慣れ”も必要だと思います。僕は毎日彼らと一緒にいるので慣れていて、考えていることや苦手な季節なども分かります。でも、うちの事業所を初めて訪問した場合、びっくりして「こわい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

齊藤:慣れていない方はそう思うかもしれないですね。僕も実感として分かります。

———知らないことから来る恐れもあったりするのでしょうか。

金島:これまで会ったことがなかったら、行動も予測できませんし、こわいと思うかもしれないです。
うちのスタッフのひとりに、iPadで意志の疎通をしている子がいるんです。その子は、人と対面するとぐっとにらむんです。にらんでいるから不機嫌なのかな?と思ってiPadを見ると、そこには笑顔の絵文字があります。
脳の関係で、表現のしかたが違うんですね。僕たちは「にらんでいる」と受け取ってしまうけど、実際の彼はとても機嫌が良かったりする。
喜んだときもウォーと声を上げて身体全体で表すのが、傍から見たら奇異な感じのアクションに見える。でも、それが彼にとっては嬉しさの表現なんです。
重度の身体障がい者、知的障がい者の方とiPadで会話すると、僕らの受ける印象と、彼らの内面は全く違います。そのことを、僕は広く世間に伝えていきたいなと思っています。知らないと誤解されたままになってしまいますから。

————齋藤さんと金島さんに、”知見”、”経験”について話していただきました。
第3回(最終回)では福祉事業、そしてこの先の未来についてお話しいただきます
(第3回に続く)

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